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@ske 2026-09-11T01:10:51.000000Z 字数 31859 阅读 2

警備員の教育時間

警備業法第 21 条第 2 項は、

警備業者は、警備員に対し、警備業務を適正に実施させるため、教育を行うとともに、必要な指導及び監督をしなければならない。

と規定し、それを受けて、警備業法施行規則第 38 条第 1 項において、警備員教育の時間数などの具体的内容が定められています。

新任教育の時間数

対象・区分 合計時間 備考
一般の警備員
(未経験者など)
20時間以上 基本教育と業務別教育を統合
警備業務経験者
(当該警備業務に従事する場合)
7時間以上 直近3年以内に通算1年以上の経験がある者など
警備業務経験者
(他種別の警備業務に従事する場合)
13時間以上 例:2号経験者が1号業務に就く場合など
検定合格者
(当該種別の資格者)
免除 新任教育のすべてが免除されます
検定合格者
(他種別の資格者)
10時間以上 例:雑踏1級所持者が交通誘導に就く場合など

現任教育の時間数

対象・区分 年度ごとの合計時間 備考
一般の警備員 10時間以上 年度ごとに基本・業務別を合わせて実施
検定合格者
(当該種別の警備業務に従事)
免除 現任教育のすべてが免除されます
検定合格者
(他種別の警備業務に従事)
6時間以上 基本教育は免除、業務別教育のみ実施

第一章 警備業務の法的基礎

第一節 警備業法

警備業務の概要

 警備業務とは、事件事故の発生を警戒する業務です。これらは古くから行われていたことであり、当たり前のような業務ではありますが、警備会社が行うとなるとその歴史は浅く、日本では昭和39年の東京オリンピックのあたりからの活躍とされています。
 高度成長期の人不足を背景に施設警備、交通誘導警備、現金輸送などが体系化され、現在の形になったと言われております。その後、不安を助長させる案件などが繰り返されるに及び警備業法が昭和47年に制定、施行されることとなりました。
 警備業法は、警備業を健全に発展させることを目的としており、適正な業務を行えない会社の排除が目的であったともいわれています。

警備業法第 1 条
この法律は、警備業務について必要な規制を定め、もって警備業務の実施の適性を図ることを目的とする。

警備の種類

 警備業務は他人の需要に応じて行うものであり、自宅を住人が警備することは含まれません。わかりやすく言うと、お金をもらって他人の家のお留守番をするような感じです。また、ボランティアなどの無償の業務も含まれません。

 警備業務は、警備業法によって以下の4つの区分に定義されています。

!警備業務の 4 つの区分

AOSは、主に施設警備と雑踏警備を行っております。

警備業法第 2 条
 この法律において「警備業務」とは、次の各号のいずれかに該当する業務であって、他人の需要に応じて行うものをいう。
一 事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等(以下「警備業務対象施設」という。)における盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務
二 人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務
三 運搬中の現金、貴金属、美術品等に係る盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務
四 人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務

警備業者の認定要件及び警備員の制限

 警備会社については、法律により条件が設けられており、これをクリアしないと営業することができません。以下の人が警備業を営む(役員になる)ことはできません。

警備業法第 3 条により抜粋
一 破産者で復権を受けてない人
二 禁錮以上の刑、または警備業法違反で罰金刑を受け、5 年が経過していない人。
三 直近 5 年以内に、警備業法違反や業務に関する重大な不正行為をした人。
四 反社会的勢力と関わりがある、または暴力的不法行為を行う恐れがある人。
五 暴力団対策法に基づく命令や指示を受けてから、3 年が経過していない人。
六 アルコール、麻薬、大麻、あへん、または覚醒剤の中毒者。
七 心身の障害により、警備業務を適正に遂行できないと定められた人。
以下省略

 警備員にも制限があり、上記に該当する方は警備員になることができません。また警備員の場合は年齢制限があり18歳未満の方については警備員になることはできません。
 これらに該当しないことを証明するために、皆さんには履歴書、住民票を提出していただくだけでなく、該当しないことの誓約書に署名していただきを提出していただくことになります(提出できない場合、採用取り消しとなります)。

警備業法第 14 条
 18 歳未満の者又は第 3 条第 1 号から第 7 号までのいずれかに該当する者は、警備員となってはならない。
2 警備業者は、前項に規定する者を警備業務に従事させてはならない。

認定業者

 条件をクリアして都道府県公安委員会の認定を受けると、警備業者は認定証を交付され警備業者としての活動が許されます。認定を受けずに警備業を営んだり活動すると、無認定営業として処分されます。
 AOS は兵庫県公安委員会より平成21年に認定を受け、警備会社として活動することが許可されました(第63001252号)。

!AOS の認定証

警備業務実施の基本原則

警備業法第 15 条
 警備業者及び警備員は、警備業務を行うに当たっては、この法律により特別に権限を与えられている者でないことに留意するとともに、他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。

 警備員には特別な権限がないことがここに明記されています。警察官とは違うことを認識しなければなりません。警察官は刑事訴訟法、警察官職務執行法等により逮捕や職務質問等の手段について法的根拠を持っていますが、警備員にはありません。
 警備員が業務を行う際には「他人の権利や自由」「個人若しくは団体の正当な活動」を知らなければならないのですが、これらは日本国憲法に明記されています。
 しかしながら、この考えだけに固執して当たり前のことまで見失ってはいけません。例えば自分の家の前でうろうろしている人がいれば「何しているんですか」という質問をすること自体不思議ではありませんし、むしろ当たり前です。ただ「何している、こっちにこい」となると話は別になり、その強制力は一般人にもありません。

 考え方として、警備員は「特別ではない」「一般人と変わらない」としておくのがいいでしょう。
 ちなみに、施設警備は施設の所有者又は管理者から施設管理権を付与されているものと考えられており、施設内では出入管理などにおいて一定の権利の行使が可能となっています。

警備員の制服

 警備員の制服は法律により制限があり、警察官等と混同しないようにしなければなりません。混同すると混乱するだけでなく不正な行為に利用される恐れがあるからです。
 また、警備で使用する制服は着用した状態の写真付きで形状を含めて届け出てあるものです。この制服を、この都道府県で、この業務において使用すると届け出てあります。指定した制服以外で業務することは、これらの法令に違反することになりますので、注意しましょう。

警備業法第 16 条
 警備業者及び警備員は、警備業務を行うに当たっては、内閣府令で定める公務員の法令に基づいて定められた制服と、色、型式又は標章により、明確に識別することができる服装を用いなければならない。

!AOS の制服例

護身用具

 警備員の携帯・使用できる護身用具には、法律により制限されています。また、それらの護身用具は警備会社等が管理簿等を作成し、種類、形状、製造番号などで管理しています。個人の判断で所持すると法令違反となり、処分を受ける場合がありますので、ご注意してください。

 また、目的が護身であることもあり、予防的措置として護身用具で威嚇することはできません。護身用具を携帯する際はこれらに留意してください。

警備業法第 17 条
 警備業者及び警備員が警備業務を行うに当たって携帯する護身用具については、公安委員会は、公共の安全を維持するために必要があると認めるときは、都道府県公安委員会規則を定めて、警備業者及び警備員に対して、その携帯を禁止し、又は制限することができる。

!護身用具例

第二節 憲法

基本的人権

 警備員には警察官のような権限はないために、他人の権利を侵害することはできません。では、どんな権利があるのでしょうか。

 まずは「基本的人権」です。これは抽象的ではあるのですが、人間が生まれながらに持っているべき権利、当然認められるべき権利というものです。
 もともと西洋思想から来ており、その根底には「神の前には皆平等」というキリスト教精神があります。そして、神が与えた権利だからこそ、人間同士がそれを侵すことは神への冒涜となり、決して許されないと考えられました。フランス革命などはこの精神が根拠となり、王政の否定へとつながったわけです。

 まずは、この基本的人権という存在を正しく理解しておきましょう。

憲法第 11 条
 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられる。

基本的人権の二大特性

自由・権利の保障と「公共の福祉」

表現の自由

憲法第 21 条
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

警備上の留意点: 

 演説の妨害などはこの権利に抵触する可能性が高いため、慎重な対応が求められます。ただし、場所の正当性や、落書きなどの器物損壊行為までもが正当化されるわけではありません。

労働基本権

憲法第 28 条
勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

警備上の留意点: 

 組合活動中の施設であっても、警備業務そのものが制限されるわけではありません。施設破壊や暴力行為に対しては、労働組合法第1条(暴力行使の禁止)に基づき、適切に制止・対応することが可能です。

人身の自由

憲法第 31 条
何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

憲法第 33 条
何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

警備上の留意点

 原則として不当な逮捕・拘束はできません。ただし、現行犯逮捕については、刑事訴訟法により「何人(一般人や警備員)でも」可能とされており、これは人身の自由の侵害にはあたりません。

住居の不可侵、捜索及び押収を受けない権利

憲法第 35 条
何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第33条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。

警備上の留意点: 

 所持品検査や身体検査はこれに該当する可能性があるので注意が必要ですが、施設や敷地への入場において条件がある場合は任意で行うことが可能です。(空港の保安検査など)拒否する者が入場できないことも差別とはなりませんし、この自由を侵害しているわけでもありません。

公共の福祉による制約

 憲法で保障された自由や権利も、無制限ではありません。常に他人の権利と衝突する可能性があるため、それを調整する原理が「公共の福祉」です。
 これは「社会全体の共通の利益」を意味します。簡単に言うと、「自分の権利を主張するあまり、他人に迷惑をかけてはならない」という社会のルールを指しています。

第三節 刑法

正当防衛

 警備員に特別な権限がないからといって、ただ殴られ続けなければならないわけではありません。警備員に限らず一般人であっても、自分に加えられる危害を避けるために反撃することは許されています。これを「正当防衛」と言い、皆さんも一度はその言葉を聞いたことがあると思います。
 正当防衛が成立する条件とは何なのか。以下のポイントを理解しておきましょう。

正当防衛の成立条件

刑法第 36 条
 急迫不正の侵害に対して、自己または他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は罰しない。
2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を軽減し、又は免除することができる。

 「昨日殴られたから、今日殴り返す」のは復讐であり、認められません。また「今晩殺すと脅されたから、先に仕掛ける」というのも先制攻撃となり、正当防衛にはなりません。「先に手を出したこちらに対し、防衛してきた相手にさらに反撃する」のも同様です。
 正当防衛はあくまで「不正な行為」に対して成立するものです。相手が正しい(正当な)状況で、やむを得ず実力行使が必要になるケースについては、次の「緊急避難」で解説します。

緊急避難

 正当防衛はあくまでも「正 対 不正」という構図が必要ですが、世の中には「正 対 正」という場合も存在します。それが「緊急避難」です。

 まずその状況の違いを整理しましょう。正当防衛は「不正な侵害」に対して反撃をする状況ですが、緊急避難は「正当な第三者の権利または利益」を犠牲にしてでも、自己(または他人)の利益を守らざるを得ない状況を指します。

緊急避難の具体例

刑法第 37 条
 自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
2 前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。

業務上特別の義務について

 上記第 2 項が示す通り、緊急避難の要件に当てはまる状況であっても、自らの危難を顧みず他人を守るべき「業務上特別の義務」がある者については、緊急避難は認められません。
 例えば、火災発生時に避難誘導業務に従事している警備員が、一般の人を突き飛ばして自分だけ先に逃げるような行為は、緊急避難とは認められにくいのです。

第四節 刑事訴訟法

現行犯逮捕

刑事訴訟法第 212 条
 現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者を現行犯人とする。
2 左の各号の一にあたる者が、罪を行い終ってから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。
一 犯人として追呼されているとき。
二 贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。
三 身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。
四 誰何されて逃走しようとするとき。

刑事訴訟法第 213 条
 現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

 警備業務中に犯罪に遭遇した場合、警備員はどうすべきでしょうか。まずは、自身の身の安全確保を最優先してください。
 相手が凶器を持っているなど、対抗手段がない場合は通報を優先し、犯人と適切な間合い(距離)を取ります。その結果、犯人に逃げられたとしても、それはやむを得ない判断であり、責められるものではありませんので安心してください。
 ただし、取り押さえることが可能と判断できる場合は、逮捕・拘束を行います。その際のルールは以下の通りです。

逮捕後の処置と権限の限界

刑事訴訟法第 214 条
 検察官、検察事務官及び司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない。

 犯人を確保した後は、速やかに適切な処置へ移行します。警備員には警察官のような捜査権限はないことを自覚しておかなければなりません。

第五節 遺失物法

遺失物の定義

 警備員は、警備業務の性質上、遺失物を扱うことが多いですが、その取り扱いが適切でない場合、トラブルが発生するだけでなく、信用を失うことにもつながります。したがって、警備員は遺失物法に基づく処理手続きを十分に理解し、適切な対応を心がけることが求められます。

遺失物法第 2 条(定義)
 この法律において「物件」とは、遺失物及び埋蔵物並びに準遺失物(誤って占有した他人 の物、他人の置き去った物及び逸走した家畜をいう。次条において同じ。)をいう。
5 この法律において「施設」とは、建築物その他の施設(車両、船舶、航空機その他の移動施設を含む。)であって、その管理に当たる者が常駐するものをいう。

拾得者の義務と権利

遺失物法第 4 条(拾得者の義務)
 拾得者は、速やかに、拾得をした物件を遺失者に返還し、又は警察署長に提出しなければならない。
2 施設において物件の拾得をした拾得者(当該施設の施設占有者を除く。)は、前項の規定にかかわらず、速やかに、当該物件を当該施設の施設占有者に交付しなければならない。

遺失物法第 28 条
 物件(誤って占有した他人の物を除く。)の返還を受ける遺失者は、当該物件の価格の百分の五以上百分の二十以下に相当する額の報労金を拾得者に支払わなければならない。
2 前項の遺失者は、当該物件の交付を受けた施設占有者があるときは、同項の規定にかかわらず、拾得者及び当該施設占有者に対し、それぞれ同項に規定する額の二分の一の額の報労金を支払わなければならない。

拾得者の3つの権利

  1. 遺失者に報労金を請求する権利
  2. 3 か月以内に遺失者が判明しない場合、物件を受け取る権利
  3. 物件の提出、保管に要した費用を請求する権利

遺失物の取り扱い方

 警備員による遺失物の取り扱いは、「拾得者が誰か」および「場所がどこか」の組み合わせにより、以下の4パターンに分類され、その対応はおおむね下表の通りです。

- 施設内(管理区域) 施設外(道路・公道等)
警備員自身が拾った パターン A 施設管理者へ報告 パターン C 警察署へ届け出
他人から届けられた パターン B 受理して施設へ報告 パターン D 受領せず、警察へ案内

!各パターンの対応手順

第六節 警察官職務執行法

 警備業務実施中において、人の生命、身体、財産などに対する差し迫った危険が生じた場合に、その危害を防止し、又はその危害を排除することは、警備業務の領域に入るが、警備業務は他人との契約に基づいて行うものであり、特別な権限を有するものでないことから、警備員が危害を防止し、又は排除するためにとり得る手段は、自ずから限界があり、最終的には、法的に権限を行使し得る警察官等に処理を委ねることになる場合も少なくない。

 警備員は、警察官の行う警告や避難誘導措置等の命令に従うとともに、できる限りこれに協力すべきである。この義務は、警備員に限定して課せられるものではないが、人の生命、身体、財産等を危害から守ることを主な任務とする警備員は、十分にこれを理解することが重要である。

警察官職務執行法第 4 条(避難等の措置)
 警察官は、人の生命若しくは身体に危険を及ぼし、又は財産に重大な損害を及ぼす虞のある天災、事変、工作物の損壊、交通事故、危険物の爆発、狂犬、奔馬の類等の出現、極端な雑踏等危険な事態がある場合においては、その場に居合わせた者、その事物の管理者その他関係者に必要な警告を発し、及び特に急を要する場合においては、危害を受ける虞のある者に対し、その場の危害を避けしめるために必要な限度でこれを引き留め、若しくは避難させ、又はその場に居合わせた者、その事物の管理者その他関係者に対し、危害防止のため通常必要と認められる措置をとることを命じ、又は自らその措置をとることができる。

第七節 軽犯罪法

軽犯罪法第 1 条により抜粋
 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。 
 一 人が住んでおらず、且つ、看守していない邸宅、建物又は船舶の内に正当な理由がなくてひそんでいた者
 二 正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者
 三 正当な理由がなくて合かぎ、のみ、ガラス切りその他他人の邸宅又は建物に侵入するのに使用されるような器具を隠して携帯していた者
 八 風水害、地震、火事、交通事故、犯罪の発生その他の変事に際し、正当な理由がなく、現場に出入するについて公務員若しくはこれを援助する者の指示に従うことを拒み、又は公務員から援助を求められたのにかかわらずこれに応じなかつた者
 九 相当の注意をしないで、建物、森林その他燃えるような物の附近で火をたき、又はガソリンその他引火し易い物の附近で火気を用いた者
 十三 公共の場所において多数の人に対して著しく粗野若しくは乱暴な言動で迷惑をかけ、又は威勢を示して汽車、電車、乗合自動車、船舶その他の公共の乗物、演劇その他の催し若しくは割当物資の配給を待ち、若しくはこれらの乗物若しくは催しの切符を買い、若しくは割当物資の配給に関する証票を得るため待つている公衆の列に割り込み、若しくはその列を乱した者
 三十二 入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者

 国民が安全かつ安心な日常生活を営むためには、最低限の道徳規律を遵守し維持していく必要がある。これらの最低限の道徳規律を定め、違反した場合には、刑罰の対象としたのが軽犯罪法である。

 警備員は、警備業務実施中に例え軽微な違法行為であっても、いずれ大きな犯罪につながる恐れもあることを肝に銘じ、安易に黙認することなく、その動向を見守り警備本部へ連絡するなど、適切に対処する必要がある。また、軽犯罪法に違反した者に対する現行犯逮捕については、刑事訴訟法第 217 条(軽微事件と現行犯逮捕)の規定によって制限を受けることに留意する必要がある。

濫用の禁止

軽犯罪法第 4 条
 この法律の適用にあたつては、国民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあつてはならない。

 軽犯罪法は、刑罰法規である一方、国民が日常生活を営む中で遵守すべき道徳規律を維持していくことによって、安全で平穏な社会を築く目的をも有する。社会生活上ありがちな行為に対して、形式的に本法に抵触するからと言って刑罰を科せば、国民の正当な社会活動が不当に制限される恐れもある。このことから本条は、国民の利益につながるような軽犯罪法の運用を再確認するものともいえる。
 警備員は業務実施中、本法に該当する行為に遭遇する機会も多いと考えられる。そのような場合に備え、警備員は日ごろから軽犯罪法本来の立法趣旨を理解し、独断で処理することなく、警備本部へ連絡して指示を受ける等、適切に対処することが重要である。

第八節 消防法

 警備員は、警備業務を実施するに当たり、火災を発見した場合には、人の生命、身体、財産等の被害の発生を防止するため、避難誘導等の応急措置をとる必要がある。消火活動については、消防法第 24 条から第 30 条にわたり規定されている。

火災発見者の通報義務

消防法第 24 条
 火災を発見した者は、遅滞なくこれを消防署又は市町村長の指定した場所に通報しなければならない。
2 すべての人は、前項の通報が最も迅速に到達するように協力しなければならない。

 本条は、火災の発見者の消防機関等への通報義務及びすべての人の協力義務について規定したものである。
 火災が発生した場合、その被害を最小限にくい止めるために最も大事なことは、消防機関等が一刻も早い通報を受け、迅速な現場出動によって、初期のうちに消火することにある。
 火災通報の「協力」とは、例えば、電話の加入者が火災の通報を行おうとする者に対して電話の使用の便宜を与え、又は自ら電話連絡に当たることなどをいう。

消防機関への連絡要領

連絡すべき事項
 1. 火災の発生日時
 2. 発生場所の所在地、名称
 3. 建物などの用途(百貨店、テナントビル等)
 4. 燃焼階、燃焼物件、燃焼程度
 5. 逃げ遅れた者の有無
 6. 付近にある目標となる建物等
 7. その他必要な事項

連絡上の注意点
 火災が発生した場合は、できる限り早く、正しく消防機関に連絡することが最も大切である。連絡の遅れは、初期消火の機会を失わせ、被害の拡大を招く原因となる。
 以下の点を十分に理解し、火災発生時には躊躇なく消防機関への通報を最優先とする必要がある。

 1. 消防機関への通報は、契約先担当者や上司への連絡より優先する。 
 火災の発見者は、消防法第 24 条の規定により、遅滞なく消防機関に通報する義務を負う。契約先への連絡はその後に行うものとし、「上司の許可を得てから」「もう少し確認してから」という判断が通報を遅らせてはならない。
 
 2. 火災の状況が不明確であっても、まず通報する。 
 発生場所や燃焼程度が完全に把握できていない段階であっても、通報を遅らせてはならない。消防機関は不確かな情報の段階から対応を開始することができるため、わかる範囲の情報を速やかに伝えることが重要である。状況の詳細は、通報後に随時追加報告すればよい。

 警備員は平素から施設内の構造・避難経路・消防用設備の位置を把握し、緊急時に正確かつ迅速に通報できるよう備えておくことが求められる。

応急消火義務

消防法第 25 条
 火災が発生したときは、当該消防対象物の関係者その他総務省令で定める者は、消防隊が火災の現場に到着するまで消火若しくは延焼の防止又は人命の救助を行わなければならない。
2 前項の場合においては、火災の現場附近に在る者は、前項に掲げる者の行う消火若しくは延焼の防止又は人命の救助に協力しなければならない。

 本条は、火災発生時における関係者等の消火、延焼防止及び人命救助の義務、これに対する現場付近にある者の協力義務を規定したものである。
 第 1 項の規定の中の「総務省令で定める者」にてついては、施行規則第 46 条に定めがあり、傷病、障害その他の事由によって消火もしくは延焼の防止又は人命の救助を行うことができない者を除き、次のアからウに掲げる者で、火災の現場にいるものとされている。

 1. 火災を発生させた者
 2. 火災の発生に直接関係がある者
 3. 火災が発生した消防対象物の居住者又は勤務者(「勤務者」とは、事業主との雇用契約に基づいて、当該消防対象物内の事業所において職務に服している者をいう。)

 警備員は、契約先との契約に基づき、当該消防対象物の警備業務に従事しているわけであるから、ここでいう「勤務者」に当たり、火災の際には、応急消火義務者として消防法上も消防機関への通報、消火活動及び避難誘導等の処置をとる必要がある。


第二章 警備実務と現場対応

第一節 基本規範

警備の目的について

 警備の目的は配置場所によって異なります。各自、その目的に応じた勤務を心がけてください。陥りやすいのが「丁寧すぎる対応」です。丁寧であることが正当化され、自信を持って行われるため、簡単に改善されない方が多いです。しかし、これはかえって弊害となる場合が多いので、注意が必要です。
 他の警備会社で勤務した経験のある方も、過去の癖が出てしまうことがありますので、特に気をつけてください。

勤務前 

 勤務前にやるべきことが、勤務の質を大きく左右します。しっかりとした準備と頭の整理を行いましょう。
 1. 制服や装備の確認:忘れ物や破損がないか確認する
 2. 本日の業務内容の確認:予定されている業務を把握する
 3. 本日の注意点の確認:特に気をつけるべきことを確認する
 4. リスクの予測:問題が起きそうなことを想像し、対策を考える
 これらが主なポイントです。何と言っても、仕事前の準備が最も重要です。

移動・通勤・服装

 移動中は、通り過ぎや物の置き忘れなどに注意しましょう。
 移動手段については、原則として公共交通機関を利用してください。公共交通機関を選択する際は、速さではなく料金の安さを優先することが求められます。
 特に、初めて訪れる場所や初めて利用する電車では、ミスが発生しやすい傾向にあります。そのため、間違いをなくすよりも、時間に余裕を持って行動することを心がけましょう。
 通勤時の服装に関しては、奇抜なものは避けるべきです。不適切な服装は、現場への入場を断られる可能性があるためです。また、忘れ物を避ける意味では、暑くない限り制服を着用して移動することを推奨します。ただし、ワッペンなどは、隠すか外す必要があります。
 これらの注意事項を守ることで、円滑な移動と適切な服装管理が可能となり、業務をスムーズに開始することができます。

勤務中の姿勢

 勤務中の姿勢は、非常に重要な要素です。
 警備業務の本質は、安心や安全という目に見えないサービスを提供することにあります。そのため、制服や姿勢といった目に見える部分が、信頼感をアピールする重要なポイントとなります。
 まず、隙があるような姿勢は絶対に避けてください。だらしなく見えるだけでNG です。これは基本中の基本です。具体的には、以下の点に注意を払う必要があります。
 1. 手の位置:手をぶらぶらさせない、手を後ろや前で組まないなど、教わった通りに実践すれば問題ありません。
 2. 立ち位置:壁に近づいて立つ際も、姿勢に注意が必要です。
 3 .監視中の視線:必要な場所に視線を向けることが重要です。

かかとをつけて 動作は止める 動作と言葉は分割

 かかとをつけるだけで、姿勢に「しまり」が出てきます。動作を止めることで、メリハリも生まれます。動きながらでは難しいことですが、意識して行動すれば、長い時間をかけずに身につけることができます。最初が肝心で、悪い癖がついてしまうと直すのが大変です。
 動作と言葉は分けて行いましょう。「ありがとうございました」としっかり発声した後に一礼する。これだけで印象が大きく変わります。発声と動作を同時に行うと、声が小さくなり、相手に届かないことが多いためです。しっかりと声を届けることを心がけてください。

第二節 制服装備品の着装規範

制服

一般的な制服

 制服は、常に端正に着用し、清潔な状態を維持してください。
 胸ポケットには、できるだけ物を入れないでください。
 自己点検を行う際は、上から順に確認すると、点検漏れを防ぎやすくなります。

 制服は、作業着タイプを除き、礼服と同様に扱われます。汚れやシワが目立つ状態での着用は避けてください。
 洗濯後のメンテナンスも重要です。乾燥機の使用は禁止です。一度の使用で生地が傷み、型崩れする恐れがあります。また、洗濯後は放置せず、すぐにハンガーにかけて保管してください。色によっては日焼けするため、日陰で干してください。
 汚れがひどい場合は交換対応が可能ですので、会社に報告してください。

腕まくりのルール
 AOSでは半袖が無いので、夏場の腕まくりは可能となっております。
 腕まくりについて、適当に袖を上げることをせずに、袖幅に合わせて3~4回折りましょう。端正さを意識してください。

!腕まくりの見本

ワッペン(標章)

 警備業法により規定されているため、業務中、制服に標章を取り付けなくてはなりません。制服の胸部分および片腕上部に取り付けます。
 夜光チョッキには、胸部分に標章を取り付けるタイプもあるため、着用時は忘れずに取り付けてください。
 取り付ける際は、標章の向きをよく確認してください。

!ワッペン

制帽・キャップ

 前から被り、耳を必ず出してください。
 目深に被ることや阿弥陀被りは禁止です。
 前髪はできるだけ出さないようにし、出す場合は節度を持って整えてください。
 頭髪については一定のルールがありますが、配置先によって基準が異なるため、会社として過度な指摘は行いません。ただし、髪型によっては配置先が制限される場合があるため、各自で基準を理解してください。
 制帽は型崩れすると元に戻らないため、大切に取り扱ってください。特に洗濯後は注意してください。
 ピアス類は禁止しませんが、目立たないもの(耳からはみ出さず、色が目立たないもの)にしてください。

ネクタイ

 ネクタイは緩まないように、しっかり締めてください。ネクタイが緩んでいる人を見かけた場合は、適宜注意を促してください。
 着用時は、シャツの一番上のボタンを閉めることが必須です。 
 夏場はネクタイを外すことが多いため、着用しない場合はシャツの一番上のボタンを外し、それ以外は閉めてください。

白手・軍手

 白手は使用する場面が多いです。使う使わないは別として、どんな現場においても忘れずに持って行ってください。
 白手は汚れが目立ちやすいですが、汚れたものは使用できません。どの程度までの汚れが許されるかという基準は、人に触れることができる程度の汚れまでです。
 軍手は素手や白手が汚れないようにするため、またけがを防止するために使います。交通誘導などでカラーコーンをよく動かす場合などに活躍します。

夜光チョッキ

 役割や配置によって色が異なります。周囲と色が違う場合は、リーダーに確認してください。
 背中の文字表示も同様に、役割や配置によって異なります。周囲と異なる場合や違和感を感じた場合は、リーダーに確認してください。
 サイズ調整は、両脇のマジックテープを使用し、バランスよく行ってください。
 また、正面のチャックは中央にくるように調整してください。

モール

 網目には向きがあるため、前方から見て山型になるようにしてください。
 また、警笛は必ず先に装着し、右胸ポケットに入れてください。

!モール

警笛 

 緊急時には警笛を使用して周囲に知らせます。
 交通誘導では合図として利用します。使用すると近所から「うるさい」と言われることがありますので、その場合は他の方法で知らせることを考えてください。
 ほとんど使わない現場では忘れてしまう人も見かけますが、なくてはならない装備品ですので、忘れないようにしましょう。

ベルト

 ズボンは腰の位置で正しく着用し、腰パン(腰を下げて履くこと)は禁止します。
 ズボンの前ポケットには、できるだけ物を入れないでください。
 裾上げのルールについては、別紙に記載しております。内容を確認の上、指示に従って裾上げを行ってください。
 ベルトのバックルが中央に位置するように調整してください。余った部分は、左側にきれいに収めてください。

靴・靴下

 靴は基本的に黒一色とし、派手でないものを着用してください。
 靴下は無地の黒系(黒、紺、濃いグレー)とし、柄のないものを着用してください。

!靴

カッパ(雨具)

 夜光チョッキは、カッパの上から着用してください。
 雨が降り始める前に着用するのが望ましいです。
 使用後は干して保管し、繰り返し使用できるよう適切に取り扱ってください。

装備品

無線機

 無線機は、情報を伝達・共有するための重要な装備です。
 落下による破損を防ぐため、しっかりとベルトに装着し、確実に固定してください。街中では肩章に無線機をぶら下げて使用する例も見られますが、AOS では厳禁です。
 使用方法は実技研修で指導しますので、確実に習得してください。
 電池式の無線機は少なく、大半が充電式です。バッテリーの交換方法はメーカーごとに異なるため、注意が必要です。無理な取り扱いをすると破損の原因になります。

拡声器

 拡声器は「トランジスタメガホン」(略称:トラメガ)とも呼ばれ、遠くの人や周囲の多くの人に声を届けるための道具であり、イベント現場で頻繁に使用されます。
 音量は手元の目盛りで調整し、適切な大きさに設定してください。ハウリングが発生しないよう注意が必要です。
 伝える際は、複雑な長文ではなく、短く分かりやすい文言を連続して使用することが推奨されます。
 防水仕様のものもありますが、通常の拡声器は雨に弱いため、天候に注意してください。
 主に単二または単三電池を使用します。

!拡声器

誘導灯

 主に車両を誘導する際に使用します。
 赤色のため、暗所や薄暗い環境でも視認性が高く、点灯だけでなく点滅するタイプもあります。
 主に単二電池を使用し、点滅の方が電池の消耗を抑えられます。暗くなったと感じたら、速やかに電池を交換(または充電)してください。
 誘導以外にも、警備員の存在を示す目的で使用することがあります。日没の30分前には点灯または点滅を開始してください。日中は点灯の必要はありませんが、目立たせる必要がある場合は点灯してください。
 使用時は、周囲の人や物にぶつからないよう十分注意してください。
 また、誘導灯は先端の向きを意識して使用しないと、合図があいまいになることがあります。

懐中電灯

 主に夜間や照明のない(または使用できない)室内で使用します。
 まれに合図として使用する場合もあります。警備員の存在を示す目的で、あえて懐中電灯を使用することもあります。
 確認の際、人の顔に向けると不快に感じられることが多いため、注意してください。    
 落下による破損や施設の損傷を防ぐため、ストラップなどで肩掛けが可能な場合は、必ず使用してください。
 ほとんどが電池式で、単一から単三までの種類があります。

乾電池

 AOS では環境面での配慮からエネループ(充電式乾電池)を主に使用しており、使い捨ての乾電池については原則使用していません。
 使い捨て乾電池を購入しても経費として認められないのでご注意ください。
 上司より電池の購入を催促された場合は拒否してください。上司が充電等の準備を怠った場合がほとんどであり、購入しても経費として認められないので購入した人が損をすることになります。
 拡声器、誘導灯、懐中電灯などでよく使います。

金属探知機

 主に持ち物検査や所持品検査と併用されます。身体に金属製のものを身に着けていないかを確認します。
 金属に反応すると、音や振動(バイブレーション)で通知されます。
 検査は手順に従って実施してください。身体検査は人権に関わる業務であるため、丁寧かつ慎重な言葉遣いが求められます。
 感度調整が可能なタイプもあります。
 金属製の下着(ワイヤー入りなど)にも反応するため、女性に対する検査は必ず女性が行ってください。

手持ち看板

 手持ち看板は、言葉を使わずに情報を伝える有効な手段です。遠くにいる人にも視認されやすく、効果的に情報を伝達できます。案内の明確化により、質問が減少し、業務の円滑化につながります。
 作成時は、シンプルで分かりやすい表現を基本としてください。細かく書いても読まれにくいため、簡潔な内容を心がけてください。
 使用前に、看板の内容を必ず確認してください。
 使用時は、看板の向きを意識してください。

腕時計

 時計を持たずにスマートフォン(以下、スマホ)の時計機能を使う人が増えてきたようですが、腕時計(スマートウォッチを含む)は必需品だと思ってください。
 腕時計が必要な理由は以下のとおりです。

 1. 勤務中、スマホの使用が制限される場合がある。
 2. スマホを預ける必要がある現場もある。
 3. スマホで時間を確認する際、ポケットから取り出すなど手がふさがる。
 4. 業務中にスマホを操作していると、仕事をしていないと誤解される可能性がある。

 時間確認にかかる時間や手間を考慮すると、腕時計の方が圧倒的に効率的です。業務の円滑な遂行のためにも、腕時計を着用してください。

第三節 制服装備品について

借りる時

使用時

返却時

第四節 護身用具の使用方法

 警備員は、犯罪等の事故の発生を警戒し防止する業務に従事するので、生命、身体の危険に遭遇する事態において、自己又は第三者の生命、身体を守るため、警戒棒、警戒杖、刺股、及び非金属製の楯を護身用具として使用することがある。
 これらの護身用具が不法な攻撃又は抵抗を受けた場合に、被害を防止するために使用するものであることを念頭に置き、相手に与える打撃を最小限度にとどめながら、しかも効果的に使用することが肝要である。

警戒棒の構え

警戒棒の握り方

 金属製警戒棒の革ひもに手首を通して、親指と人差し指の付け根を広げ、警戒棒を当て、小指、薬指及び中指を締め、親指の先と人差し指の先が相対するようにして警戒棒を柔らかく握る。

基本の姿勢

 警戒棒を身体の垂直線に45度になるように保持する。

休めの姿勢

 その場で左足を約20センチメートル幅に開き、体重を両足にかけると同時に、警戒棒を体の前面で水平に保ち、両腕は自然に垂れる。

下段の構え

 左足を続いて右足を半歩前に進め、警戒棒は基本の姿勢の要領で保持する。
 1. 膝に少しゆとりを持たせる。
 2. 相手方(前方)を注視する。

中段の構え

 右足を約半歩前に進め、右半身の姿勢となる。

両手の構え

 左足を、続いて右足を半歩前に進め、警戒棒を体の前面で斜めに構え、先端を左方の前で握る。

警戒棒の基本操作

下段打ち

 1. 下段の構え
 2. 前進右ひじ打ち
 3. 後退左ひざ打ち

中段打ち

 1. 中段の構え
 2. 警戒棒を右側頭上に上げながら、1歩前進して左肩を打つ。
 3. 警戒棒を右側頭上に上げながら、1歩前進して右肩を打つ。
 4. 警戒棒を右側頭上に上げながら、1歩後退して左ひじを打つ。
 5. 警戒棒を右側頭上に上げながら、1歩後退して右ひじを打つ。

第五節 現場実務

施設警備

出入管理

 出入管理は、人や車の出入りを管理する業務です。
 具体的には、入る資格がある人とない人を分類し、資格がある人には許可を出し、資格がない人には入場を拒否するか、必要な手続きを取ってもらいます。
 どのような人が入れるか入れないかは、施設ごとに異なります。1箇所1箇所ごとに確認が必要です。
 出入資格は施設が決定するものであり、警備員が勝手に判断するものではありません。「知っている人だから」「いつもの人だから」という理由は通用しません。厳格さが求められていることを常に意識してください。

出入管理の書類・設備

 出入管理は、デジタル化が進んでいる施設では、ICカードや生体認証などの機械が主に行い、警備員はサポート役となる場合もあります。
 一方、デジタル化が進んでいない施設では、警備員がIDカードや社員証を目視で確認する場合もあります。手続き的な関与としては、仮のIDカードを発行するケースもあります。また、書類(出入管理簿や入館管理簿など)に記入することで入館を許可する施設もあります。 
 施設ごとに書類や設備が異なるため、その対応も警備員に求められます。

巡回業務

 巡回業務は、施設内を回り、異常がないかを確認する業務です。これに加え、施錠・開錠、消灯、エレベーターの休止作業などを行う場合もあります。
 一般的に、巡回の経路や時間はあらかじめ決められているため、スケジュールを意識しながら業務を遂行する必要があります。特に警戒を重視する巡回では、常に周囲に注意を払いながら行動することが求められます。
 異常を見落とすと苦情につながることがあるため、時間よりも業務の内容を重視してください。巡回を早く終わらせることが目的ではなく、丁寧に確認することが重要です。なお、不自然に短時間で巡回を終える場合、手抜きと判断される可能性が高いことを理解しておきましょう。

巡回業務の装備・経路など

 巡回業務の装備は現場によって異なりますが、主に以下のものが使用されます。ただし、持っているだけでなく、正常に機能しているかが重要です。日頃から点検を行い、常に使用可能な状態を維持してください。

 1. 無線機 
 2. 懐中電灯 
 3. チェックシート 
 4. 警戒棒(※設置されていない場合もあり) 
 5. 刻時時計(※現場による)

 巡回経路はあらかじめ決められている場合が多いですが、複数のルートが設定され、日によって異なる場合があります。しっかり確認しておきましょう。

巡回業務の点検項目(チェックシートなど)

 巡回における点検個所はあらかじめ決められている場合が多く、チェックシートが用意されています。
 チェックシートの使用方法は、基本的に上から下へ順番に確認することが原則です。これは点検漏れを防ぐための重要なルールです。チェックシートを何度も上へ戻りながら点検すると、漏れが発生しやすくなります。
 点検漏れは、重大なトラブルにつながる可能性があり、特に同じ箇所で繰り返し発生しやすいのが特徴です。そのため、「上から下へ」の基本を徹底し、確実に点検を行ってください。
 このルールは、他の書類管理や点検業務にも共通する考え方です。常に意識して業務を行いましょう。

鍵の取り扱い・書類

 巡回時には、鍵を持ち出すことが多くなります。鍵の管理には、キーストラップに付ける、キーケースで保管するといった基本原則がありますが、それに加えて持ち出し時のルールも定められており、厳格な遵守が求められます。決して手を抜かないようにしてください。
 鍵の持ち出し時には、必ず鍵管理簿に記録する必要があります。原則として二人で確認を行い、記入時や取り出し時には声に出して確認することが求められます。
 鍵の紛失は本来少ないものですが、繰り返すうちに管理が雑になる人もいます。その結果、紛失が発生し、大きな問題につながるケースもあります。鍵の交換には莫大な費用がかかるため、細心の注意を払い、絶対に手を抜かないようにしてください。

立哨警戒

 立哨警戒は、固定された場所で周囲を監視する業務です。一部では、一定の時間ごとに場所を移動しながら行う場合もあります。
 監視業務では、周囲をしっかりと見渡すことが求められます。ただし、ぼんやり立っているだけではなく、首も動かしながら確認を行いましょう。目線だけでは監視が不十分になる場合があります。
 立哨警戒中は適切な姿勢を維持することも重要です。姿勢を正しく保つことで、周囲に対する警戒の意識を示すだけでなく、自身の集中力を高める効果もあります。

動哨警戒

 動哨警戒は、立哨警戒とは異なり、移動しながら警戒を行う業務です。ただし、警戒するという本質は同じであり、周囲をしっかりと確認するために首や目を動かしながら注意を払うことが求められます。
 動哨警戒は、巡回業務の移動中に同時に行われる場合もあります。しかし、その場合は次の点検場所を意識するあまり、前方への注意が強くなりすぎる傾向があります。周囲の状況にも十分に気を配るようにしてください。
 また、巡回業務と関係のない単独の動哨警戒の場合、移動速度は遅くても構いません。むしろ、周囲に警戒をしている姿勢を示すことが重要です。その意識を持って勤務にあたってください。

施錠業務

 鍵を施錠する業務です。一見すると簡単に思われがちですが、確認手順が定められています。以下の手順を省略せず、確実に実施してください。

指差呼称は絶対

 施錠開錠が代表となりますが、警備においては指差呼称が重要な行為となります。指差呼称には以下のような目的があります。

 1. 自分に言い聞かせる
 2. 周りに品質面をアピールすることにより安心を提供
 3. 手抜き防止
 4. 省略防止

 やらない人はマイナスポイントが大きいだけでなく、当該現場から外れていただくことになります。場合によっては処分の対象となることもあるため、必ず実施してください。

シャッターの昇降

 シャッターの昇降は扉の開閉に準ずることですが、事故が発生すると損害が大きかったり身体生命にかかわったりしますので、慎重さが求められます。

 1. シャッターラインの確認
  (降りる場所の確認、上昇時は寄りかかり物などの確認)
 2. 降下開始
  (ボタン等の操作、緊急時に備えてボタンには手を掛けたまま)
 3. 降下の確認

 シャッターは緊急時停止できる態勢が必要です。シャッター事故のほとんどはその場を離れている場合が多く、基本を守れば起きなかった事故ばかりです。つまり、本人の責任が非常に大きいということです。

案内誘導 

 施設警備における案内や誘導は、当該施設に関する情報を提供することが求められます。いわゆるインフォメーションとしての役割が必要です。
 商業施設では、店舗の場所や特売情報などを把握しておく必要がある場合もあります。よくある質問には事前に答えられるよう準備し、施設内の配置についても精通しておくことが重要です。
 丁寧な言葉遣いと柔らかな物腰で対応することを心がけてください。

防災監視

 モニターや制御盤などを用いて各所のセンサーを監視し、異常があれば迅速に対応する必要があります。
 どこにどのセンサーがあるのかを把握していないと、火災発生時の対応に支障をきたすことがあります。また、操作盤などの操作方法にも慣れておかないと、対応が遅れたり、適切に行動できなくなったりする可能性があります。 
 普段から制御盤の内容やセンサーの種類・配置を確認し、把握しておくことが重要です。日常的に意識しておくよう心がけてください。

避難誘導

 火災などが発生した場合、警備員が避難誘導を行うことがあります。
 誘導は主に非常放送を用いて行います。避難誘導の文言については、事例ごとにいくつかの文例を用意しておく必要があります。
 発生時に即座に考えて対応するのではなく、事前に文例を理解し、普段から対応の準備をしておくことが求められます。

書類について

 警備の仕事は何かを作り出すわけではないため、黙っているだけでは何も証明できません。それを防ぐために重要なのが、警備報告書などの書類です。
 これらの書類は記録であり、警備の証明となるもので、後でトレース(遡及)される可能性もあるため、非常に重要です。正確に記入し、定められた場所に、定められた方法で保管しなければなりません。
 記録をおろそかにすることは、その仕事自体を軽視することになりますので、意識を高めて取り組んでください。

マニュアル(ポストカード)

 施設警備では、現場ごとの業務の詳細を記したマニュアルやポストカードが存在します。何となく仕事をしているわけではなく、これが交通誘導やイベント警備との大きな違いです。
 マニュアルは手順書であり、取扱説明書であり、ルールブックです。まずはマニュアルを熟読し、その後でトレーニングや勤務を行います。疑問があれば、再度マニュアルに立ち戻ることが基本です。
 業務を進めていく中で問題が生じた場合は、マニュアルを変更し、改めて理解していく流れになります。マニュアルの変更がなければ、業務の変更はありません。

施設利用の注意事項

 施設の利用規約を遵守しましょう。
 備品の利用は許可されたもののみ可能です。不明な場合は、確認してください。使用した備品や借りたものは、必ず元の状態・元の位置に戻すことが原則です。これを怠ると、小さな問題が重大なトラブルにつながる可能性があります。
 常に「整理整頓」と「清潔」を意識しましょう。
 物は丁寧に扱い、できる限り両手で取り扱ってください。
 片手で扱うと、雑に扱っている印象を与えることがあります。
 引きずらない、音を立てないなど、丁寧さと周囲への配慮を心がけてください。

交通誘導

 交通誘導警備は、道路交通法第77条(道路使用許可)に基づき、警察の許可条件として配置される重要な業務です。
 警備員が行うのは、警察官のような強制的・法的な権限を持つ「交通整理」ではなく、あくまで相手の任意協力を得る「交通誘導」です。

 最終的な運転判断と安全責任は運転手本人にありますが、誘導ミスによって事故が発生した場合は、警備員や会社も過失責任を問われる可能性があるため、常に高い安全意識を持って業務に当たってください。

安全な場所で

 車両・歩行者の誘導は安全な場所で行うことが原則となります。
 以下の順番で場所を決めていくことになります。
 1. 安全な場所  
 2. 見通しのいい場所
 3. 効果的な場所

安全が第一、次に円滑

 車両の誘導は、ある程度の危険性を伴う作業です。まずは「安全第一」が原則であり、この原則が変わることはありません。
 ただし、安全を過度に追求しすぎると、車両の誘導ができなくなる場合もあります。過度に安全を追及するのではなく、必要な安全は確保しつつ、柔軟に対応することが重要です。
 安全が確保できたら、次に求められるのは円滑な誘導です。円滑な誘導は、周辺環境に大きく影響されるため難しい面もありますが、可能な限り努力してください。特に、駐車場の退出待ちが発生した際などは、意識して対応することが求められます。

歩行者には誘導灯は使わない

 誘導灯は、言葉が通じない距離での使用が想定されています。車は窓を閉めていることが多く、音では伝わらないため、誘導灯を使うことが有効です。言葉が通じない場面では、合図が適していますが、手よりも誘導灯の方がわかりやすい場合が多いでしょう。
 では、歩行者の場合はどうでしょうか。原則として、歩行者に対しては誘導灯で案内することはありません。距離が近く、声が通じるため、会話で理解を促すことができる環境だからです。
 原則として、声が届く範囲では声で案内・誘導することを覚えておいてください。

誘導合図は言葉に直そう

 誘導の合図は、すべて言葉に置き換えることができます。そのため、適当な合図や雑な合図は、適当な言葉や雑な言葉と同じように、誤解や混乱を招く原因となります。
 誘導で合図を出す際は、毎回発声することをお勧めします。発声を伴うことで、合図が丁寧で明確になり、相手に正確に伝わりやすくなります。
 こうした工夫が、質の差を生むポイントとなるでしょう。

示す・促す、そしてピタッと止める

 合図は、誰にでもわかりやすいように行う必要があります。一度に二つ以上の合図を同時に行うと、相手に正しく伝わらない場合がありますので注意してください。
 たとえば、右に進むよう指示する場合は、「右側を示す」動作と「右側に促す」動作の二回に分けて行うことが必要です。この「示す」と「促す」を習慣化してください。
 また、動作は途中でピタッと止めることで、方向が明確になり、合図全体が引き締まります。ぐるぐると回したり、適当で雑な合図にならないよう、常に正確で丁寧な動作を心がけましょう。

手のひらと手の甲 

 手のひらを上手に使って、案内や誘導に活用してください。手の甲は、特別な場合を除いて使いません。
 手のひらにはいろいろな意味がありますので、皆さんも普段から使っているのではないでしょうか。
 手のひらを目立たせるために白手を使いましょう。
 手のひらを使うことで、丁寧さや印象がさらに良くなる場合もあります。

感謝とお礼の気持ちを

 交通誘導は、命令や指示を出すのではなく、あくまでも要請であり、お願いです。
 警備員の指示に従っていただいた歩行者や運転手の方々に対しては、感謝とお礼の気持ちを示さなければなりません。お辞儀や敬礼をする習慣をつけましょう。もちろん、「ご協力ありがとうございました」と声でお礼を伝えることも忘れないでください。
 逆に、自分の指示に従わなかったからといって、粗暴な態度を見せることは絶対にいけません。あくまでも要請であり、お願いであるという基本に立ち返ってください。

イベント警備

広報 

 混雑状況、スケジュール、危険個所などの情報を伝える業務です。
 イベント等では、拡声器などを用いて広報を行うことが多いため、以下の点に注意してください。
 1. 文例は事前に考えておくこと
 2. 短くわかりやすい文例を用い、繰り返し広報すること
 3. 人の流れや状況に応じて柔軟に対応すること
 4. 広報の効果を検証し、より効果的になるよう工夫すること

案内・誘導 

 イベントの案内や誘導にあたっては、イベント内容に関する情報を十分に把握していることが求められます。ただし、周辺環境に関する質問については、答えられなくても差し支えありません。
 また、イベントには熱を帯びた方々(興奮気味の方や鼻息の荒い方など)が多数来場されるため、誤った情報は混乱を招く恐れがあります。正確な情報を提供し、十分ご注意ください。
 重要なのは、正確であること、混乱を防ぐこと、そして誠意ある対応です。

立入禁止

 「関係者以外立入禁止」や「危険のため立入禁止」など、場面ごとに異なる理由で立入禁止区域が設けられることは、イベント等ではよくあります。
 立入禁止には明確かつ強い理由があるため、通行規制ほど柔軟な対応は求められず、基本的に厳格に対応する必要があります。
 ただし、「関係者以外立入禁止」の場合は、どのような人が立ち入ることを許可されるのかという基準が重要です。その基準を事前にしっかり確認し、適切に対応してください。

通行規制

 花火大会などの大型屋外イベントでは、周辺道路に通行規制がかかることが多く、その警備を担当する場合もあります。
 通行規制は、警備員がバリケードやカラーコーンを用いて実施しますが、規制の許可権限は警察署長にあります。そのため、規制をむやみに変更することはできませんので、十分ご注意ください。
 規制内への進入を求める車両が多く見受けられますが、警備員が安易に車を通すことは警備の信頼を損なう行為です。ただし、関係車両や地元住民などについては、進入を認める場合もあります。その際は無線機などを使用し、上司に確認を取るなど、臨機応変な対応が求められます。

持ち物検査

 イベント会場などでは、持ち込み禁止品が設定される場合があります。特にスポーツイベントでは、ビン・カン・ペットボトルなどが代表的な禁止品です。また、ビッグイベントではスポンサー以外の飲料の持ち込みが禁止される場合もあり、いわゆる「大人の事情」による制限が存在します。
 さらに、近年はテロ防止対策の一環として、厳格な持ち込み制限が設定されるケースが増えています。
 持ち込み検査をすり抜けて問題が発生した場合、警備会社が責任を問われることもあります。そのため、持ち込み検査は確実に実施してください。
 なお、一部のケースでは、手荷物検査を行うことで、利用者に検査体制が整っていることを認識してもらうこと自体を目的とする場合もあります。

第六節 クレーム・トラブル

基本的な考え方

 クレーム・トラブルは頑張っても、注意しても完全に回避できるものではありません。逆に発生するのが前提と考えて落ち着いた対処をできるように準備しておきましょう。
 会社としてはクレーム・トラブルが発生しても新入社員については仕方が無いと受け入れるのが普通です。これは初めての人に不慣れなことをやらせているのは会社なわけで、責任も会社にあるという考えから来ます。また積極的にやった結果上手くいかなかったということもよくあることであり、これも本人を責める材料にはならないでしょう。ですから皆さんは安心して積極的に勤務には励んでください。
 但し、手抜きや省略、怠け、指示等の無視などについては、容赦しない場合もあります。まずは、具体的にどのようなことがクレームやトラブルに発展するのか、十分に確認してください。

よくあるクレーム・トラブル

遅刻  ※非常にマイナスなポイントとなります。

 警備の依頼には、「時間、場所、人数」が基本的要求事項です。特に、指定の時間に配置につかないことは契約不履行とみなされ、損害賠償の対象になります。
 時間に余裕を持つこと、時間を間違えないこと、きちんと目覚めることを心がけてください。時間間違えは言い訳になりません。メモを取り、復唱を活用しましょう。

忘れ物  ※マイナスポイントは結構高めです。

 忘れ物により勤務ができないというケースは稀に発生します。稀とは言っても、決定的な場合(なければ勤務ができないなど)もあるため、注意が必要です。
 定期的な点検をルーティーンとして確立したり、着ていくものを増やしたりすることで忘れ物を減らすことができます。

服装

 警備は安心や安全を提供する仕事なのですが、安心や安全というものは目に見えず評価がしにくいのが難しいところです。そのため、警備員については見た目で判断されやすい特徴があります。
 特に袖や裾、帽子、靴などの端に当たる部分がだらしなくなりやすいため、注意してください。

姿勢

 姿勢も見た目の一部であり、仕事内容に関係なく判断される要素です。
 よくあるのは壁にもたれかかることや、椅子にだらしなく深く腰を掛けることですが、本人がその気がなくても見られてしまう場合もありますので、注意が必要です。
 行動や態度に関しては、やったかやってないかではなく、そう見られてしまったらそれが終わりであり、言い訳は通用しません。
 壁から離れて立つ、椅子に深く腰を掛けないなどの対策をとることで、ほとんどの問題は解決できるはずです。

言葉遣い

 言葉遣いは外見の中でも特に印象に残ったり問題になったりする部分です。
 例えば、「元気がない」と言われると自信がないと捉えられてしまうし、「もじもじしている」と言われると問題があるのでは、と思われてしまいます。
 当然、乱暴な言葉遣いはその行為だけで問題です。また、丁寧に見えても攻撃的で、相手が傷つく言葉を使うことも問題です。
 なかなか難しいことではあるので、はじめは慎重さが求められるでしょう。

手抜き・省略  ※結構やりがちな事案です。

 毎日同じことを繰り返すと、飽きてしまい集中しきれないことが起きます。また、問題が起きないことが続くと、「たぶん問題はない」「大丈夫だろう」「異常無いんじゃないの」という不確実な要素で行動してしまう傾向があります。
 簡単に言うと、人間は強くはなく、楽な方向に流されやすい生き物です。
 しかし、警備業務においては、点検や施錠などを確実に行わなければならず、不確実な要素に頼ってはいけません。

時間の短縮

 若い人が陥りやすい問題です。若い人ほど、早く仕上げたい、素早い行動を求めたがる傾向が強いからでしょうか。
 ベテランは、早く仕上げたり、早く行動するとミスが増えたり業務の品質が低下することを知っていますので、時間を短縮することに執着しません。
 まずは与えられた時間の意味を理解し、業務を行う際には、早すぎると感じた場合には適度なペースで進めるように心がけてください。

順序の変更

 業務の順序や点検・確認の順番は意味があって決まっており、無断で変更することはできません。
 このほうが楽だから、このほうが速いから、このほうが効率的だからという理由ははるかに優先順位が低い理由です。警備業務においては確実性が優先事項となります。
 特に、チェックリストは上から順番が基本です。

無断離脱

 トイレに行くなどの生理現象や具合が悪いなど病気が原因の場合もありますが、それとは対照的に、いわゆるサボリは相当なマイナスポイントです。
 お客様との警備契約は「何時から何時までそこに警備員がいる」というものですから、いないというのは契約違反となり損害賠償の対象となります。
 処分として罰金が課されることもあり、サボりは絶対ないように願います。

居眠り  ※昔からあるクレームのひとつです。

 特に施設警備は、業務が単調になりがちで待機時間も長いため、つい居眠りをしやすい環境にあります。
 まずは普段から十分な睡眠を取ることが重要ですが、椅子に座らないなどの工夫も必要です。特に冬季の室内は暖かく、居眠りしやすい状況です。
 刺激のあるタブレットなどの活用も考えられますが、使用する場合は現場のルールや規定を確認することが必要です(一部の現場では禁止されている場合もあります)。

おしゃべり  

 正確には、仕事をしている雰囲気に見えないということでしょう。場所をわきまえていないということも考えられます。
 周りをよく見て行動しましょう。周囲に不快に思っている人がいないかどうかを確認しましょう。仕事に集中している人にとって、おしゃべりしている人は邪魔者になります。特に声が大きい人は注意が必要です。
 業務上必要な会話は真横で話すとか見た目も意識してください。

音楽・読書

 他でも指摘していますが、警備業務は暇な場面や何もない場面が多いので、サボる誘惑にかられる場面も多くなります。
 しかし、音楽を聴くことは耳をふさぐ行為であり、読書においては仕事に全く意識が無い状態となります。何もなかったからといってOKではありません。サボった分は取り上げられますのでご注意願います。

スマホ

 警備業務では暇な時間や何も起きない時間が多く、ついスマホで遊んでしまう人も出てきます。しかし、この時間は会社に拘束されている時間であり、会社の規則に従わなければなりません。
 スマホを私的に使用した場合、その時間を勤務時間とは換算しません。この場合、罰金だけでなく、給与の返納を求めることもあります。結構重い罰則となる行為なので注意しましょう。
 携帯が許可されている現場では、メール到着の確認や時間の確認程度は許されることがほとんどです。チラ見程度にして休憩時間に操作することを心がけてください。

物品の使用・持ち出し・持ち帰り

 基本的に物品の無断借用はできません。当然ながら持ち出しや持ち帰りに対しては言い訳はできず窃盗の扱いとなります。そうなると会社としては従業員の保護よりも司直の判断を待つということになります。
 机などを一時的な置き場所や記入場所として借りることもあるかもしれませんが、このようなよくある場面でも慎重さが求められます。分からないことがあれば、先輩などに確認してください。

原状の回復

 要するに、元に戻すということです。
 業務を行う際に物や場所を借りることはよくありますが、仕事を終えたら元に戻すのが基本です。ですから最初の状態を覚えておくことが大切です。また、不必要なものに触れないことも、確認場所を増やさないコツとなります。
 ゴミなども基本的には持ち帰ります。現場に残さないようにしてください。処理費用を請求されることもあります(飲食なども業務中に発生したものは産業廃棄物として扱われます)。

トラブル・クレームに関して

トラブル解決の基本は、是か非ではなく

 トラブルの場面で「私は間違っていない」という言葉をよく耳にします。これは、自分が正しいと主張し、相手が悪いというスタンスを取ることを意味します。しかし、実際にはそんなことはどうでもよく、お互いが間違っていない場合もありますし、両者が間違っている場合もあります。学校では、正しいことと間違っていることを明確にする傾向がありますが、社会に出ると事態は単純ではありません。
 トラブルが発生した場合、まず処理できるかどうかやその影響の程度を考えます。結局のところ、是か非かよりも損得や手間暇を考えることの方が多いのです。

業務に支障が出たらどうなりますか 

 警備は特定の目的を達成するために行われます。トラブルの対応でそれが損なわれたらどうでしょう。業務がスムーズに進行するためには、時には警備員が妥協することもありますが、周囲の人が不快になることを避ける必要があります。
 ただし、警備員自身が危険にさらされる場合や法律に反する行為や会社の損害を引き起こす可能性がある場合には、これらの考慮を切り離して行動する必要があります。

その場は長引かせて、上司の登場を待ってみましょう 

 実際にトラブルが発生すると、経験の浅い人ほど対処が難しくなることがよくあります。そのような場合の基本は、自分で問題を解決しようとしないことです。また、はぐらかすというと印象が悪いですが長引かせる、引っ張るということを行います。  
 具体的には、保留の態度を取り、上司が来るのを待つということです。相手が怒っている場合は、さらに状況を悪化させないように注意します。火に油を注ぐような対応は避け、落ち着いて対処することが重要です。

第七節 警備業務検定

 警備業務検定とは、警備業法に定められた日本の警備員の国家資格。
 現在6種別(下表参照)について検定が行われており、それぞれ1級と2級に区分されています。
 検定の方法には、公安委員会が行う試験を直接受ける方法と、登録講習機関が行う講習会(特別講習)の課程を修了し、公安委員会の試験を免除される方法があります。いずれの場合も公安委員会に合格証明書の交付申請を行う必要があります。

検定の種別及び内容

検定の種別 内容
空港保安警備業務 空港等施設において航空機の強取等の事故の発生を警戒し、防止する業務(航空機に持ち込まれる物件の検査に係るものに限る。)を実施するために必要な知識及び能力
施設警備業務 警備業務対象施設の破壊等の事故の発生を警戒し、防止する業務を実施するために必要な知識及び能力
雑踏警備業務 人の雑踏する場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務(雑踏の整理に係るものに限る。)を実施するために必要な知識及び能力
交通誘導警備業務 工事現場その他人又は車両の通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務(交通の誘導に係るものに限る。)を実施するために必要な知識及び能力
貴重品運搬警備業務 運搬中の現金、貴金属、有価証券等の貴重品に係る盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務を実施するために必要な知識及び能力
**核燃料物質等危険物
運搬警備業務
運搬中の核燃料物質等危険物に係る盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務を実施するために必要な知識及び能力

第八節 不審者・不審物を発見した場合

不審者について

 「警備における不審者」とは、一般にその施設内、その中の特定区域への出入りが許可されない者といえる
 しかし、不特定多数の人が出入りするような施設の場合には、そのような判断はできないことから、不審な挙動、服装、携帯品等によって判断することになる。この場合の不審者とは、その環境にそぐわない者としての条件を見い出すことになる。
 施設内で不審者を発見した場合は、施設管理権に基づき毅然たる態度で機先を制し、行先、要件等について質問を行う必要がある。この場合、沈着冷静な態度で言葉遣いに注意するとともに、人権侵害等の行き過ぎには十分配慮する必要がある。そして、相手方の返答、状況によっては入場、入館を拒否、退去を求めるなどの措置も必要となる。

不審者対応上の留意事項
- 相手の顔色、目の動き、落ち着き等に注意し、目を離さない。
- 冷静な態度、穏やかな言葉遣いを保ち、相手の挑発に乗らない。
- 常に、まじめな態度で臨み、言葉遣いに気を付け、相手に納得いくように説明する。
- 可能な限り複数の警備員で対応するのが望ましい。
- 緊急を要するものについては、速やかに警察機関等へ通報する。

不審車両について

 不審車両と考えられるものは、以下のような車両をいう。
 - スイッチとエンジンが直結してある車両や窓ガラス、ドアの鍵等が破壊されている車両
 - 車体が破損していたり、血痕が付着していたり、車内が著しく汚れている車両
 - 車両ナンバーの偽造、前後のナンバーが違う車両
 - 不自然な積載物がある車両

不審車両への対応
 - 車種、車両ナンバー、色等の特徴を記録する。
 - 停止を求める場合、停車しない場合を考えて安全な場所に位置する。
 - 車両が完全に停止した後に接近する。
 - 停車しても、むやみに車両の前後を横切ったり、進路に出ない。
 - 運転者等は、不審者として対応する。

不審物(含爆発物)について

 「施設における不審物」とは、平素と違う状態におかれたもので、次のようなものをいう。
 - 管理、所有者の不明なもの
 - 見慣れないもの
 - 不自然に設置されたもの

不審物(含爆発物)発見時の対処要領

 不審物件を早期に発見するためには、施設内の通常の状態を十分に把握するとともに、施設内の整理・整頓に努め、フロア、廊下等に余計な物を置かないことが大切である。そうすることによって、巡回時等を通じ、不審物の発見を容易にすることができる。
 不審物を発見し、管理、所有者等が判明した場合は、契約先担当者等に連絡し、速やかに回収、撤去を依頼する。管理、所有者等が不明の場合は、拾得物と同様の処置をとる。

第九節 熱中症に関して

熱中症対策の義務化

 2025 年の労働安全衛生規則の改正により、職場における熱中症対策が義務化された。これまで努力義務とされていた対策が法的義務となり、違反した場合には罰則が科される可能性がある。
 警備業界では交通誘導警備やイベント警備、施設警備など、炎天下での長時間作業が日常的に行われており、熱中症による労働災害が深刻な問題となっていた。厚生労働省の統計によると、建設業に次いで警備業は熱中症による労働災害の発生率が高い業種である。
 警備員一人ひとりが熱中症を正しく理解し、自らの身を守ることが求められる。

対策が必要となる作業条件

 暑さ指数(WBGT)が 28℃以上、または気温が31℃以上の環境下での作業であって、連続して 1 時間を超える作業、または 1 日の合計作業時間が 4 時間を超える作業が対象となる。交通誘導・イベント警備・施設警備など、特に夏場の屋外警備や空調のない場所での長時間勤務はこの条件に該当しやすい。

熱中症の主な症状

重症度 主な症状
軽度 めまい・立ちくらみ・大量の発汗・筋肉痛
中度 頭痛・吐き気・嘔吐・倦怠感・集中力の低下
重度 意識障害・けいれん・高体温

 重症化した場合は生命に関わるため、早期発見と迅速な対応が不可欠である。

予防措置

応急処置

 熱中症が疑われる場合、現場での迅速な応急処置が被害拡大を防ぎます。
  1. 涼しい場所へ移動
  2. 衣服を緩めて体を冷やす
  3. 冷たい水や経口補水液で水分と塩分を補給
  4. 症状が改善しない、意識がもうろうとしている、応答が鈍い場合は、すぐに 119 番通報し、救急隊員に現場状況や応急処置の内容を正確に伝える。

第十節 警察機関等への連絡要領

警察機関等への連絡の重要性

 警備員は、業務の性質上、事件・事故等に遭遇する場合が多いので、警察機関などへの通報連絡を行うにあたっては、平素から警察機関等への通報手段について研究し、習熟することが必要である。特に、第一報の適否は、そのあとの事件・事故への対応に重大な影響を及ぼすことに留意し、通報すべき事項等について、適切な通報が行えるようあらかじめ熟知しておくことが大切である。

警察機関への連絡要領

連絡内容

  1. 事件・事故の概要、発生した日時、場所
  2. 被害の状況(死傷者の数及び負傷の程度)
  3. 現場の所在地、目標
  4. 連絡者の氏名、連絡先
  5. 犯罪等の種類
  6. その他必要な事項

また、犯人が逃走したような場合には、

  1. 犯人の人相、着衣、特徴、持ち物、逃走方向
  2. 車両の色、型、ナンバー
     
     などについても連絡する必要がある。さらに、状況の推移に応じて、追加連絡を行うことが望ましい。

消防機関への連絡要領

連絡すべき事項

  1. 火災の発生日時
  2. 発生場所の所在地、名称
  3. 建物などの用途(百貨店、テナントビル等)
  4. 燃焼階、燃焼物件、燃焼程度
  5. 逃げ遅れた者の有無
  6. 付近にある目標となる建物等
  7. その他必要な事項

連絡上の注意点

 火災が発生した場合は、できる限り早く、正しく消防機関に連絡することが最も大切である。連絡の遅れは、初期消火の機会を失わせ、被害の拡大を招く原因となる。
 以下の点を十分に理解し、火災発生時には躊躇なく消防機関への通報を最優先とする必要がある。

1. 消防機関への通報は、契約先担当者や上司への連絡より優先する。 

 火災の発見者は、消防法第24条の規定により、遅滞なく消防機関に通報する義務を負う。契約先への連絡はその後に行うものとし、「上司の許可を得てから」「もう少し確認してから」という判断が通報を遅らせてはならない。
2. 火災の状況が不明確であっても、まず通報する。 
 発生場所や燃焼程度が完全に把握できていない段階であっても、通報を遅らせてはならない。消防機関は不確かな情報の段階から対応を開始することができるため、わかる範囲の情報を速やかに伝えることが重要である。状況の詳細は、通報後に随時追加報告すればよい。

 警備員は平素から施設内の構造・避難経路・消防用設備の位置を把握し、緊急時に正確かつ迅速に通報できるよう備えておくことが求められる。

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